入院記
今シーズンもピークの年末年始を何とか乗り切り、さて1月下旬の誕生日が
近づいてきたので、この一年どう過ごそうか・・・などと考えていたある日、
突然虫垂炎(盲腸)になってしまいました。
夕方からお腹が痛み出し、夜になると痛みはさらに増し、激しい嘔吐と悪寒!
食あたりかと思って正露丸飲んでみたけど効き目なし。 夜通しガマンして
翌朝メディカルセンターへ駆け込み・・・血液検査・尿検査してもまだ原因わからず、
とりあえず痛み止めにモルヒネを点滴で入れてもらって一旦帰宅。
B&Bのお客様到着日でしたので、準備が間に合うかと心配しながら休み休み
掃除と夕食準備まで済ませて、その後、お客様のおもてなしは夫にバトンタッチ。
しかし夜中の痛みは極限まで達し・・・ (ここで救急車を呼んでと言わなかった
自分も自分ですが)朝までガマンして再度メディカルセンターへ。 入口に倒れこむと
もう歩けず、車椅子に乗せられて診察室へ、ここでダニーデン行き決定。
手配されたヘリコプターに運び込まれました。
(夫はお客様が宿泊中だったので一緒に行けず、私だけ)
確かこの日は快晴、スッキリと抜けるような青空の中にプロベラが回り始めたのを
ぼんやりと記憶してます。 今きっと素晴らしい景色の中を飛んでいるに違いない
と思ったけど、顔を起こす余裕なし。 40~50分?くらいでダニーデンの大学病院の
屋上に到着すると、スルスルと屋内へ入りエレベーターで下がっていき、検査室へ。
血液検査・尿検査・CTスキャンを経て、
虫垂炎であることが確実となり、
その夜のうちに手術となりました。
手術の前に確か誓約書みたいなのを
読んでサインするはずだから、
そのときだけ通訳いてくれたらとお願い
してみたものの、誰もいなかった・・・
ドクターとナースが別々の書類を読んで
くれて朦朧としながらサインした。
気づくと、術後は集中看護室。
身体にいろんなものがくっついていて
自分の身体じゃないみたい。
3日くらい何も食べてないのに、お腹が
すかない。 4日目の朝、口にした
フルーツジュースがやけに美味しかった。
そして迎えた誕生日の朝、枕元に
その晩夜勤だったナースが作ってくれた
折り紙の花束が!
嬉しかった~
現在ダニーデン在住の友人のひさこさんが、夫から知らせを聞いてお見舞いに
駆けつけてくれました。 助かるぅ~!
洗面用具や暖かそうな服など、見つくろって持ってきてくださいました。
午後になると、お客様のチェックアウトを済ませた夫がワナカから駆けつけてくれました。PCを持ってきてくれたので、これで料理教室やB&Bのお客さんと連絡がつく。
ホッと一息。 ドタキャンしてしまった用事がいくつかあった・・・スミマセン。。
一人でやってる仕事って、こういう緊急事態には人に迷惑かけちゃうんだな~と実感。
ナースに手伝ってもらってシャワー室へ。
腸からドレインの管がつながっているし、身体を見たくないけど。。
お腹全体が風船のように膨らんで、まるで子供のお腹みたい。
手足はむくんでパンパン、足首がなくなってしまいました。
注入し続けている薬のせいかな
信じられない、この足!
あまりにもスゴイので、
撮影してみた!
お腹はとてもじゃないけど
見せられません(笑)
血圧測定、血液検査、毎回の尿のチェック、抗生剤と痛み止めの点滴は、昼も夜も
続きましたが、徐々に回復してきたのが自分でもわかる。
4人部屋の病室に移って数日。 週末になると、同室のおばちゃん達のところに
お見舞い客が次から次へとやってくる。 病室が社交場状態。
足を犬に噛まれて3週間入院中のおばちゃんは可愛い女性だったな~
ナースに内緒で、板チョコをベッド横に隠し持っていて、よく食べていたっけ。
ようやく食欲が出てきたら、和食が食べたくなった。 普段は何でもOKの私も、
さすがに具合の悪いときは優しい和食が欲しい。 こちらの病院には和食はない。
和食どころか、エッ?! という驚きがあったりする。 夕食のデザートによく登場した
ゼリー&アイスクリーム。 メインミール(温かい食事)と共に運ばれてきて、
その時点で、カップに入っていたアイスはすでに溶けていた。 色鮮やかな
着色ゼリーに、このベチャベチャした泡クリームをのせて食べろってことか??
ひさこさんにお願いして届けてもらった
インスタント味噌汁! 朝食に、オーダー
しておいたポリッジ(オートミール粥)と、
マグカップに作ったお味噌汁を交互に
口に入れて口中調味。
あ~美味しい!
味噌のパワーが身体の隅々に
しみ込む。
これで和食を食べた気になった。 満足。。
海外の病院に入院したら、
インスタント味噌汁&ポリッジ、お勧めです。
(ポリッジは味付けなしのプレーンなものでね)
犬に噛まれたおばちゃんが退院してゆき、そこへ今度は ドレッド・ヘアの
イカツイ お姉さんが入った。 朝から ドスの利いたうなり声が病室中に響く!
かなり大柄のようで、ベッドから手足がはみ出していた。 見かけはコワイけど、
挨拶したら、何気に優しそうでした。
1週間の入院のうち最後の一泊は、別の病室に移されることになりました。
4階から8階の突き当りの部屋へ車椅子で移動。 ビックリ! あまりに眺めの良い部屋、
しかも個室、オンスイート! 大きな窓からダニーデンの街と港を見下ろす夕暮れ時の美しさといったら! ここならあと2~3泊してもいいかも・・・なんて思っちゃいました。
夜景に見とれて、そろそろ寝ようと横になったら、外から大きな音が聞こえ始めた・・・
窓の向こうからヘリコプターがこちらに向かって近づいてきた。
すぐ上の屋上に着陸。 また急患が運びこまれたんだわ・・・
自分が運ばれてきたときのことを考えていたら、そのまま眠ってしまいました。
目が覚めたら、カモメが飛び交う朝の風景が広がってた。 幸せな気分でゆっくり
過ごした最後の一泊、これが私のホリデーだったのかしら?
ドクターから退院の書類を手渡され、抗生剤や痛み止めの処方箋をいただいて
無事退院。 最初のメディカルセンターでの診察料・検査料の支払いはあったものの
その先ヘリコプター搬送から手術・入院まで、病院の支払いはゼロでした。
退院後の帰路は、St.John 専用バス (クライドのダンスタン・ホスピタル乗換えで
ワナカまで帰れる長距離バス) が予約できるとのこと。
行きはよいよい 帰りはコワイ~
う~ん・・・入院中に荷物が増えたし、一人でバスで大丈夫かな
と心配でしたが、結局夫がワナカから迎えに来てくれました。
片道4時間かかるところを往復し、その後、夜はお店の仕事に行くそうで、
本当にお疲れ様です。
帰宅したら、地元のたくさんの知人・友人たちからお花やカードが届きました。
大好物のケーキは、近所のKet の手作り
皆さん、この度は大変お騒がせしました。
ご心配・励ましの言葉・留守中のうちの家族へ
の手助けなど、本当にお世話になりました。
コミュニティーの大きな温かさに支えられました。
ありがとうございました。